[blog] 昭和の神戸三宮の姿を求めて④

前回の投稿で、長島孝次さんの書かれた『神戸 昭和レトロ集』の衝撃を書きました。
実はもうひとつ、衝撃的なことがあったんです。
点と点が一つの線に繋がった、奇跡のような出来事にも思えます。

私は神戸市中央図書館の2階で、長島さんの他の著作を手に取り読むにつれ、長島孝次さんは昭和の神戸を知り尽くしたお方であると同時に、灘区(主に高羽)の語り部でおられたことを知りました。
実は自分も、灘区で生まれ、灘区で育ち、茨城から戻ってきた今も灘区民として暮らしています。
つまり、ご近所さんなのです。ジモピーなのです。
「どうにかしてこの方に会ってみたい」
「会ってお話を聞くことはできないものだろうか」
と、『神戸 昭和レトロ集』の巻末を見てみると、そこに見つけたのは、
長島さんと二人三脚で制作にあたっておられた、編集者の世良さんの名前。
実は、この世良さん、私が個人的にとてもお世話になったお方だったのです!
「あの世良さんだ!」
もう、そのお名前を見た瞬間に背筋に鳥肌が立ちました。
これは早速、手に入れなイカン!!買って応援!!買って応援やで!!」
私は居ても立ってもいられなくなって図書館を飛び出し、三宮のジュンク堂へマッハで駆け込み、蔵書検索をかけました!
在庫、ゼロ。!!
今度はAmazonや!!
な、なんと、プレミア価格がついてました。
(2018年2月現在で34,395円!!)

私と一緒に昭和の神戸の姿、ありし日のキャバレーの空気を調べてくださっている
「下町レトロに首っ丈の会」隊長の山下さんと一緒に盛り上がり、
このことを世良さんに報告しよう!と息巻き、
昨日、お酒をご一緒してきました。

 

長島さんは、昨年、お亡くなりになられていました。
お2人はとても仲が良かったようで、お酒が入った時には東門あたりの酒場のお話もされていたようです。
長島さんのお家は、神戸の空襲も、昭和の水害も、阪神大震災すらも崩れずに生き残った奇跡のお家だそうで、ご自身のコレクターぶりが合わさって、まるで文化的資料の積層だった、中でもマッチのコレクションは圧巻だった、と。
時折、目頭を押さえながらお話をされている世良さんの姿が印象的でした。

長島さんご本人には、残念ながらお会いすることは叶いませんでしたが、
長島さんが書かれた1冊の本が、こうして時を超えて私たちに語りかけてくれたこと、
「あの日のサンスター」のマッチを、本を通して見せてくださったこと。
長島さんが一心不乱に駆け抜けてこられた青春が、生き生きと私の前に現れて、
祖父が生きた時代の空気を伝えてくださったこと。

本当に奇跡のようなことだなと感じます。
本は時空を超えて、人と人を繋いでくれるもの。
そう思いました。
長島さん、ありがとうございました。

過去、現在、未来。