0411更新!! [blog] 昭和の神戸三宮の姿を求めて⑧

東門街のピープルツリー

スナック南天 ③

生田のリビングレジェンド、怒涛の思い出話!! 

スナック南天篇 最終回!! 

圧倒的ボリュームで一挙公開!!

"最後まで良かったなあ、紅馬車"
s「『月世界』って今も残ってますよね」
A「あそこは天井が低くて息苦しいわ」
s「天井が低いんですね」
A「低すぎる」
B「『チャイナタウン』も7、8人でやってはる」
s「そうなんですか。恥ずかしながら行ったことないんですよ」
s「キャバレー全盛期の時代、あそこよかったなあってのはどこですか」
B「そら『紅馬車』やな」
s「あ、『紅馬車』良かったですか」
B「最後まで良かったなあ『紅馬車』」
A「ベニは良かったわぁ、マヒナスターズは来たりなあ」
s「あ、そうなんですか!」
A「ショウが良かった。そらもう最高やった」
A「ほんまナイトクラブぅ言う感じやった。静かやし、バンドもね、アーッとね」
s「ええ感じやったんですか」
B「松尾和子の綺麗なこと。あの雰囲気にピタッとおうとったわ」
C「松尾和子って知らんのちゃう」
s「知らないです」
A「べっぴんさんよぉ」
C「よくフランク永井とデュエットでね」
B「悩ましい歌歌ったりするんや」
g「へぇ〜。あ、これですか(検索したスマホ画面を見せる)」
A「そんなんパッと映んねんなあ」
g「パッと調べたらパッと出て来ますよ。それでも、今日聞いたことは、検索には出てこないお話です」
C「お酒飲んでねえ、亡くなったんやね。息子さんが薬で亡くなって」
A「綺麗かったわぁ、あの人の衣装も綺麗かった。その雰囲気に(合って)」
B「ジャズ歌手やったからね、やっぱり綺麗よ」
A「江利チエミはなんやジャガイモみたいな顔や笑」
sg「ジャガイモて!!笑」
A「色が黒うてなあ」
C「高倉健の嫁さんやったんよ」
s「へぇ〜」
A「もんのっすごいよ。人気あったでぇ」
C「高倉健の方が好きでね。今でいうストーカーみたいなほうやって。高倉健が。
 あの人のうちのところ電信柱で待って」
g「それほんまストーカーですね笑」
A「江利チエミはほんま歌上手やったわぁ」
B「家の財産もな、借金もあってな、それで別れはった」
C「嫌いで別れたわけじゃないのよね」
C「いまだに高倉健は命日が」
A「高倉健はな、『網走番外地』『黄色いハンカチーフ』も良かった」
 
勝新通り
s「昔の映画っていいですよね、ほんまもんの男前と美人で。めちゃくちゃかっこいい。勝新もかっこいいなと思いました」
A「勝新背ぇ低いでぇ」
A「この辺は『勝新太郎通り』言うて『勝新通り』って言いよってん」
s「え?!ここ?!」
A「この通りな。はぁ。この上に『スイートホーム』いうてクラブがあってん」
s「はぇえ」
A「そこの『スイートホーム』のねえ、生演奏が良かったな。勝新太郎がそこにくんねん」
s「えぇ、来てたんすか?!そこに?勝新さん来てたんですか?」
A「勝新とうちらよう会いよったけど。(なんの気もなしに)うん。もう馴染みやで。神戸の人は馴染み」
s「ぇえ〜!!!」
A「撮影所が近いやろ。宝塚の。そやから勝新たろとかな」
C「宝田明さんとか」
A「明ちゃんな。明ちゃん」
s「はぇえすっごい」
B「ほいでそこにあんた『コペン』があって、平尾昌晃やら山下敬二郎とか」
s「コペンですか」
A「喫茶店やってんコペンは」
B「ほんで二階が『六本木』言うねん」
s「六本木!!」
B「六本木のマスターが向こうの人やねん」
A「向こうの人は物んすごい女の人に弱いねん」
A「『今日、ツケでいい?』『ええ、ええ!』言うて笑
 気前が良すぎて潰れてもうた」
g「そら潰れますわねえ笑」
ケ・セラ・セラ、やな
s「勝新さんどんな人でした?!」
A「色の白いねえ、丸っこい顔しとうわあ。背ぇ低いわ」
B「お兄さんの若山富三郎の奥さんがな、藤原礼子さん。
『ふじわら』言うのもやってたな」
s「ここら辺におったんですねえ!」
B「宝塚の撮影所がなくなってね」
A「綺麗な着物着てな。『ふじわら』言うのやってたで」
A「気さくぅな人やったで。あんまり気取らへん」
A「神戸べっぴんさん多かってんで。もう芸能人がママさんなってな。藤原礼子さんかて、ママさんに見えへんし」
B「『りえ』のママさんは京マチ子そっくりやってん」
A「『ローラ』のママかて綺麗やったな」
s「昔のべっぴんさんはほんまべっぴんさんですもんね」
A「べっぴんさんがヤクザに好かれて早死にすんねん。美人薄命やな」
A「『スイートホーム』のママかて綺麗やってんけどな。顔切られとんねん」
B「バンドマンにな、切られてん。ヤキモチ焼いて」
A「おかしいねんけど、男の人も「昔のことや!」言うて」
A「ケ・セラ・セラ、やな」
B「女の方かて、ほんまやー言うて」
A「顔切られてもべっぴんさんやった。着物着てなあ」
次郎長になった女の子
A「もう25すぎたら着物着なさい言われて。洋服は24まで。
 せやから着物代がごっつい要りよった。毎日変えないといかんねん」
s「毎日ですか!大変ですね」
A「家にないな、家にない雰囲気をな、売るとこやからな。せやから毎日髪をときつけに行って、毎日着物着替えて」
s「大変!それは」
A「ほいでミーティングの日、1日は白い着物言うて決まってあって。
 白の着物。小紋柄着たら『雨降りとちゃう。変えなさい』言うてマネージャー言うねん」
s「へぇーー」
A「家庭と違う。引きずらんといてください言うて。キツかったで、ママ」
B「そらそうや。全部そやった。今でこそなあ」
A「今の子はとっかえで服装も何も考えらんとなあ、ええわ、ホンマ。
 せやから『どこそこまで、あそこのクラブにお客さん来とうから迎えに行ってください』言うたら、ママが見ようもん。『一番ええ子連れて迎えに行きなさい』」
s「へえ〜〜ーなるほどね」
A「ああ、ああ。看板娘。看板娘が迎えに行く。どっちもが。看板娘が」
s「そのお店の代表で行く、と」
A「なんやあそこの子服装悪いな、とかな。ジロジロジロジロ見るやろ。そらな。
 せやから看板娘なんよ。」
s「見て、見られてですね。」
A「そうそうそう。どっちも競争意識やん。はあ」
s「確かに確かに」
B「まあ、良き時代よ」
A「おしゃれよ。今じゃ考えられへん笑」
A「ここらへんは綺麗な人いっぱいおったで。節分のときどない綺麗か。
舞妓さんがどない多いか。笑 節分の時な」
s「へえ〜〜ー」
A「舞妓さんの姿になったりな」
B「芸者姿になったりな」
A「衣装借りてな」
s「へええ、節分なんですね、それは」
A「節分の時にせんとあかんねん。次郎長なった女の子もおったで笑」
s「次郎長っすか?!笑 すごい。めっちゃおもろい笑」
A「ちょんまげ結ってな笑」
C「今じゃ考えられへんでしょ笑」
s「考えられないっすね!笑」
A「なんせ親分の姿なったりな。せや、節分の折は新聞記者が来て皆、写真映すねんやん」
B「ハロウィンみたいな」
g「そうですよね、それ僕も思った、ハロウィンですね、今のハロウィンやなあって」
B「うんうんうん」
A「せやから節分の時、三宮もう歩かれへんかってんで、みなそれを見に。
『ありがとうございました〜』言うてちょんまげ結うたんが中から出て来て笑」
sg「あはははは!」
A「『またどうぞ!』言うて男もおるしな。次郎長一家みたいやった。笑」
sg「笑」
B「楽しいやんそんなん、なあ?」
s「楽しいっすねえ」
A「昔ほんま、サービス精神すごかった」
s「ほんまですね、確かに確かに」
A「車乗ってな、次郎長みたいなカッコして笑 馴染みのタクシー乗ってんねん」
s「面白いなあ。ほいじゃ今の三宮よりもっと楽しい感じというか」
A「三宮は活気があった。」
B「来るお客さんかてねえ、姫路の方やったら山切ってな、材木売ってお金ちゃんとボーンと。で来てそのお金をペンペーンと使いよった」
s「はぇえええ〜」
A「うちらこの中(髪の毛??)にお金どない入れたか。家ですかしとやん。」
s「ここの中にですか?!」
A「ここへ。二つ入れてくれんねん。ここぐーっと」
g「そんなシステムが!」
 
正義の味方が誰や彼やおんねん
A「昼間は昼間で集金いかなあかんから忙しいで」
s「なるほどそのツケのところで」
A「40日は待ってくれるねん。40日」
s「菓子折り持ってな」
g「そういえばうちの父親から聞いたことありますわ、金曜日の日にクラブのママがいっぱい並んで笑」
A「お菓子もって行きよったで」
g「今みたいに銀行に振り込みじゃなくて現金を持ってるからその場でこう出来ると」
A「もう手ぶらで行かれへんねん」
s「でしょうねえ」
A「せいぜい3軒やなあ。」
B「振り込みにして良くなったか悪くなったか分かれへんけど、
  あれあんた…、それこそ、あのマンダリンの、手前のあのビルの、
 ??ビルの、あそこのビルから落ちた人おんねんで」
s「うわあ」
B「自殺した人おる。給料日にあんたお金持ってるでしょ、ほんでよう飲みようでしょ、
あれやっぱりスリやなんかおるんやなあ、あんなん。それで盗られて」
s「うわあ」
A「ほんで落ちて死んで」
s「あららららら」
B「会長かなんかの人やったよ。落ちて死んで。今は振り込みやからお金そんな持たんでええやろ、財布盗られたってそんなに(昔ほどは)」
A「皆寝とんねん。涼しいな、外やったら。寝とんねん。それで抜かれてな」
s「抜かれて!」
A「身分証明あるやん、そなな。」
B「エレベーターやって2、3人やって来てな、ワーワーワーワーって、
財布見て、喋りよるしな、お客さんこないなっとる間にな、スる人は専門や」
s「うわあスゴ」
B「ほいでザアッと降りてしまうねん。そしたら、気がついて、今度は自分がいた階に行って、降りたら、ない(ことに気づく)。そんなんようけあった」
s「すごいなあそれは」
A「正義の味方が誰や彼やおんねん。なかったら貸したろ言うてな、それで馴染みなってなあ。おんなじ今の三宮でもこんだけ今の時代となあ(違う)」
s「そうですねえ、こんだけ変わってしまったんで、昔の話知りたいなと思ったんですよ。今やっぱここら辺のそのとこって立ちんぼが立ってもうやっぱり自分たち若い奴らでもやっぱ素通りするんで、いたくないんでねえあんまり。
でもこうやって調べてみると、昔からあるお店があって、入ってみると楽しい、っていうのが、そういうのがもっとあればいいなあと思いますね」
C「そういうの知らないんだと思いますよ。若い人が変えていかなあかんもんね」
B「震災前やったら昔の感じがまだ残ってたんやけどね。震災で店が潰れちゃったから、復帰できない人が何人もおった。『新しくしようと思ったら大変やから出来なくなった』、『歳いったらできなくなった』色々な条件でね。うーん」
s「やっぱそのー思うんすけど、自分のよう知っとう近所の風景でも、例えば近所のお店が潰れて工事現場になった時に、『あそこってなんやったっけ?』って結構わからなくなるし、そうなるとだんだんね、目にするものがなくなるから忘れていく気がするんですよ」
B「そうそうそう」
s「で、今やっぱ聞いとかんと!ほんまにね、なくなるから」
B「ここでも、2、3年先に『アレ?何屋さんやったんやろか?』ってね」
s「記憶喪失なりますもんね、よう見てんのにねえ」
 
気楽な「いすず」のママ
A「ほんで皆2階で、自分とこの。2階でみな寝よったもん。ビルでないから。
こんなんもうこの前の方に。『いすず』いうのがあって、そこのママね、2人でやっとって、『ミモザ』のママがやっとったとこな、そこ。あそこは長屋やってん、ママ。
ほなそこで、『ちょっと!トイレ行って来るわ〜』って言うたらなかなか降りてけえへんねん。そこで寝てもとんねん、2階で笑 お客さんほったらかしや笑」
sg「あははは!」 
A「お客さん待っとんねん、ほんで『ママー!』言うて、なかなか降りてけえへん、ほな上がって行ったら寝てもーとんねん笑 お客さんも知ったもんやから、『ママ寝とうわ。ちょっと10分ぐらい寝さしとったろ!』言うて笑」
sg「あははは!」
A「ほな次お客さん入って来るやん、(お客さんが指差して)『2階で寝とうわ』言うて笑」
sg「ちょっと待っとき言うてですか笑」
B「豪傑な人もおったな」
A「欲得ないねん」
C「それでも成り立つんやもんね」
A「『いすず』言うたらアンタ有名やってんで」
s「ふぅーん」
B「おでんかなんか売りよったんかな」
A「そんなんもやりよったんかな。なんせ気楽なママやった笑」
s「寝るくらいですもんね笑」
A「いや昔そんなんやってんで。もうそれになんぼなんぼ儲けたらええわぁ言うな」
B「呑み助言うてめちゃくちゃ強い人もおったからね」
A「『寝るわ』言わんと2階に上がって行ったら、怪しい」
g「怪しい笑」
A「昔は気の長い人多かったな。今みたいに『あ!電車』やりなんなりせえへんもんな。夜通し歩いとったら面白いとこもあんねんもん。ご飯屋行ってもな」 
 
ドブ川だった、北野坂
A「昨日小曽根さんの載っとったな」
g「ああ亡くなりましたねえ」
s「…??」
A「ソネのマスターな(注:調べてみるとソネのマスターではないもよう)」
s「エッ、小曽根実さんすか?!そうなんすか?!亡くなったんすか!!」
A「そうそう。あの人阪神電鉄の社長の息子や(注:小曽根財閥のことだと思われる)」
s「ああそうなんですか。超お金持ちですね!」
B「息子さんよう遊んだけどなあ」
A「4人おったもんなあ、あそこ。あの小さい男の子、こないしとった(ピアノを一生懸命弾く)子がアンタ大きなっとうやんなあ。あはは」
sg「それってまさか小曽根真さんのことですか」
A「一時あんたなあ、ソネソネ言うてなあ、できたての時なあ。隣の、同じとこ棟に建ってた、前あそこにおった人はうち知ったお婆さんがおって。それソネが買いはって」
g「ソネが最初…旅館かなんか裏でやってたんですか」
B「ああ、あの辺りそうやったわな。麻雀しに行ったわ。お風呂がちょっとあってね。疲れたらね、クラブの後でね、ほいでお風呂も入れるし。麻雀しに行ったわ、あそこ。そやそや!」
A「あの辺はほんまごっちゃごちゃのお店多かったなあ」
B「北野坂パッと広くなってからあれやけど、狭かったから、あそこ」
g「狭かったんですか」
B「狭かった狭かった!」
A「道あんな広いことなかったもん」
B「北向き地蔵のあるところな。あのあたりなんかもうすぐ横はドブ川でね」
A「川流れとってん」
s「へぇ〜」
B「このぐらいのドブ川よ。そのドブ川を渡って、店がズラズラズラーっと、並んでたんよ。それの向かい側なんか、もう狭いからね、こっちへ広く出るとこまでね。だから、ブワッと立ち退きなって、なくなって、裏が表になって、よくなったのよ。だからあの水車のあそこの(正家)。あれやって裏っ側が表になりよったん」
A「もうコロッと変わったで。あそこドブ川やってん」
s「ドブ川が変わったんていつ頃の話なんすか」
A「もうだいぶ前や、50年ぐらいもっと前かな」
B「ドブ川渡った向こうの店はね、今で言うたら掘っ立て小屋みたいやったけど、名士ばっかりが来よったんよ。どこそこの絵描きや、どこそこのミュージシャンとか、あんなん来とうから、ええ話ようけしよった。ええお店やったんよ」
s「へえ〜。絵描きさんとか芸術家の方」
A「神戸はそんなんやったで」
s「やっぱちょっといいっすね、おしゃれな」
C「でも今ね、外国の人から見たら何の魅力もないって、神戸がね」
s「頑張らないけませんね!」